もらい事故で考えておくべき車の評価損(格落ち)に対する対処法と捉え方

もらい事故で評価損が出た場合の対処法

ぶつけられたときのショックって計り知れない。

たとえ100:0だと理解していたとしてもあの怒りの矛先をどこに向けたら良いのか分からないくらい腹が立つあれは。

事故にあった場合ってホントにやられ損なのだが、ヤラレ損な上に車は事故車扱い、結果査定額も下がる可能性大。

で、大事なのはこの査定評価が落ちることに対してどうやって補償されるのかって言う点になる。

正面衝突されて鞭打ちになった著者の経験談

著者もこれまで2回ぶつけられた経験がある。

特に1回目は酷かった。

相手側が完全によそ見をしているのが目視で確認、「おーいバカ!止まれぇ!」「あーあーあーああぁぁ!!」(←もちろん全く相手には聞こえない)と言っている間にドカン。

幸いにもスピードはそれほど出ておらず、尚かつこっちは急ブレーキで止まっていたので大事には至らなかったが、なんと20年以上経った今でも首の後遺症、そう、いわゆる「鞭打ち」は残ってるのだ。

おかげで未だに整体に通わなければならないレベル。

鞭打ちで整体を受けている著者

※もちろん今はコルセットはしてません。

しかも若かりし頃にまさか鞭打ちになってるとは気づかずカラオケでヘッドバンキングしちゃったもんだからもう最悪だ(あの時は激痛で3日間寝込みました)。

もらい事故にあった場合に覚えておくべき「格落ち」

でですよ、このぶつけられたときの対処って多くの人が「致し方なく」修理に出すわけだ。もちろん相手の保険を使って。

ただ、修理だけして終わっているケースがほとんどではないだろうか。

今後売るときに落ちるであろう査定額についても、しっかり対応し切った人はそう多くないはず。

当時著者も修理以外一切頭になかった。

で、事故車になったことで被る査定減額のことを「評価損」とか「格落ち」、または「査定落ち」と言ったりするのだが。

この評価損について、実は対応次第で落ちるであろう査定価格分を保険会社に請求することが可能なのだ。

事故車の定義を知っておく

例えばバンパーやフェンダー、ドア、ボンネットをぶつけた結果で修理経験をしたことがある人も多いだろう。

でも、これだけだといわゆる「事故車(修復歴車)」にはならない。

事故車の定義については日本自動車査定協会(JAAI)に詳しく掲載されていますが、一部を抜粋すると下記。

日査協、公取協などの統一基準として修復歴車と定義されているのは、骨格(フレーム)部位等を交換したり、あるいは修復(修正・補修)したものが修復歴車(事故車)となります。
事故車認定される修復箇所の画像
(1) フレーム(サイドメンバー)
(2) クロスメンバー
(3) インサイドパネル
(4) ピラー
(5) ダッシュパネル
(6) ルーフパネル
(7) フロア
(8) トランクフロア

(1)から(8)の骨格部位に損傷があるもの又は修復されているものは修復歴となります。但し、ネジ止め部位(部分)は骨格にはなりません。

出典:中古車の査定・修復の考え方

もっと簡単に要約すると、「骨格にダメージを受けている箇所があればそれすなわち事故車認定」ということ。

これが事故車であるかどうかの定義だ。

とはいえ、そんなこと素人の私たちには判断できようもない。

事故車かどうかを確定させるためには、このJAAI(以下「査定協会」と呼びます)に査定してもらう必要がある。

査定協会が事故車と認定すると、評価損分、つまり事故によって落ちるであろう価格減額分を認定して証明書を出してくれるのだ。

ちなみに、査定協会は出張査定もしてくれる。

事故減価額証明書のサンプル

JAAIが発行する事故減価額証明書

よし、これで評価損のお金を保険会社に請求できるぞ!と普通に考えるところだが、実はそうコトは簡単にいかない。

基本的に保険会社は評価損に対して極めて消極的

もらい事故で事故車になった、査定協会で減価額証明書も取得した、はいこの減価分もお宅が補償してね!と保険会社に出しても基本的にまず応じてもらえないと思っておいたほうがいいだろう。

理由は簡単、「払いたくないから」だ。

保険会社の言い分は大体下記の3つでまとめられる。

「新車購入時から半年以内じゃないと評価損請求は認められません」「じゃあ今すぐ売却するんですか?しないのであれば認められません」「もう直して普通に走っていて問題ないし価値が下がるかどうかも分かりませんよね」

そんな理由認められるのか!?という疑問が湧くが、実際こういった理由で伝えてくる。やられた側にはとても理不尽な理由。

根底の理由は「払いたくないから」。この一点なのだ。

さらに、実際裁判まで起こしても評価損請求を却下されたケースがいくつもある。

東京地裁平成1年3月24日付判決

「(財団法人日本自動車査定協会東京都支所作成の中古自動車事故減価証明)は中古車の商品価値の差(価格差)を算定したものであるところ原告は中古車を販売するものではなく,また本件は買い替えを相当とする場合には当たらないから,右査定上の減価を直ちに原告の損害とすることはできない」

名古屋地裁平成5年10月8日判決

「損傷部分がバンパーやフロントフェンダー等であって車両の主要な骨格部分が含まれておらず,また,本件では損傷部分の部品はほとんど交換するという修理の費用の賠償が認められることも考慮すれば,適正な修理が実施された後の車両に,その性能・外観の低下や中古車としての交換価値の低下が残存するとは容易に考えられない」

これは納得いかない。なんなんだよ法律って。

さらに株式会社あすか保険事務所の近藤慎一氏も下記のように言っている。

各保険会社の回答は残念ながらほとんどのケースで「格落ち損害は認めない」という事なのです。(中略)

多くの時間と労力をかけて数万円を勝ち取る努力は気持ちとして満足するのかもしれませんが、その時間と労力を仕事の方へ向けたらもっと稼げることでしょう。

そもそも近藤さんとか誰だ?感はあるんですけども。

客観的に見た場合この近藤さんの言っていることは正論だし、ある意味著者も賛同できるしまあその通り。

事故の程度や金額によっては、仮に身内だったとしても同じことを伝えているかもしれない。

ただね、

事故を起こされた側の心情ってそんな単純じゃないのだよ。

そんな正論だけで片付けられるもんじゃない。安全な場所から上から目線で理論を語られたところで何も解決しないのだ。

被害者側からしたら、「時間と労力を仕事の方へ向けたらもっと稼げる」とか論点のすり替えでしか無いでしょう。

実際リアルに裁判起こして戦っている人たちが沢山いるのだ。

評価損(格落ち)請求掲示板
https://8415.teacup.com/hyoukazon/bbs

ところが弁護士の見解はまた違う

東京弁護士会所属の今村幸正弁護士によると、「評価損は100%認められるものではない」としながらも、裁判例を分析した結果で下記のように言っている。

100%認められるものではないといっても、実は、裁判例を分析すると評価損については認める傾向にあります。
裁判例を詳細に分析した文献(海道野守『裁判例、学説にみる交通事故 物的損害 評価損 第2集‐3』平成14年6月10日・保険毎日新聞社(以下、『評価損』といいます)・15ページ)によると、「評価損を認める裁判例が、全評価損裁判例の67.6%を占めており、裁判例の大勢は「認める傾向」にある」とされています。

出典:http://bengoshi-blog.jp

さらに評価損を認めた判例も下記にて沢山紹介されています。

評価損を認めた判例の紹介(国産車の評価損)~交通事故の被害者のために~
 評価損の解説のラストです。  今回は、国産車の評価損を認めた判例を紹介していきます。  評価損に関する判例は、外車に関するものが多いです。  もちろん、外車のほうが評価損が認められやすい傾向にはありますが、国産車だから評価損が認められない...

弁護士さんの中には「評価損請求は非常に難しい」と述べている方もいるので色々な見解があるだろう。

個人的には、いや一般的に考えてもあくまでその事例ごとで是非は異なるというのが正しい受け取り方になるのかなと。

実際上記で紹介したBBSでも「勝訴しました!」と声高らかに勝ち名乗りを上げている方も沢山お見受けする。

あと修理費の10%~30%が通例とされているがそれ以上に勝ち取っている方も沢山いらっしゃる。

本当に裁判までするかどうかはさておき、評価損を保険会社に請求するにあたって必要な事項を知っておくのは決して損ではないと付け加えておこう。

評価損請求をするための具体的な手順と流れ

前提条件として、「保険会社がすんなり受け入れることは無い」ということを念頭においておく必要がある。

その上で下記の流れを組んで根気よく話をしていく必要がある。

  1. 事故を起こしたらまず現場の写真を必ず撮っておく
  2. 修理を施す
  3. 査定協会に査定を依頼、事故減価額証明書を取得する
  4. ポータルサイト(カーセンサーやGooなど)で同車種の価格を調べておく
  5. 評価損を認定した判例を提示する

ちなみに4番は、同年式、同程度、同走行距離の価格を調べた上で、更に近い条件で修理歴のある同車種の価格の差額を調べておけば、客観的事実に基づいた金額を示せる。

もちろん、愛車自身の不具合も伝えよう。

  • 実際に走っているときに不具合がある
  • 不具合が無くとも今後不具合が発生する可能性が高い
  • そもそも事故歴が付いた車は高く売ることがほぼできない

相手側保険会社への具体的な反論処理方法

文中で示した保険会社の理由(言い訳)パート3、

  1. 「新車購入時から半年以内じゃないと評価損請求は認められません」
  2. 「じゃあ今すぐ売却するんですか?しないのであれば認められません」
  3. 「もう直して普通に走っていて問題ないし価値が下がるかどうかも分かりませんよね」

これらはまず間違いなく言ってくるので、立証するため、またはこちら側の言い分を通すための交渉テクニックも覚えておく必要がある。

「新車購入時から半年以内じゃないと評価損請求は認められません」への対応

⇒「半年以内(または向こうが提示してきた走行距離)などの社内基準について、書面で送ってください」と伝える。
(多分出してきません、「出せ」ということ自体に意味があると思っておいてください)

「じゃあ今すぐ売却するんですか?しないのであれば認められません」への対応

⇒「いつからいつまでの期間の基準なんですか?じゃあ今すぐじゃなくて事故発生からいつまでに売るなら認められるんですか?」と伝える。

「もう直して普通に走っていて問題ないし価値が下がるかどうかも分かりませんよね」への対応

⇒「問題ないという定義はなんですか?価値が下がるかどうか、査定士でもないのにどうして分かるのですか。もし分かるなら書面で証明してください」と伝える。

プラス、査定協会の評価損が認定されていることを書面を持って伝える。

更に評価損の判例集も伝える。

こちらとかこちらが参考になります。

自動車保険の「弁護士費用特約」を利用する

自動車保険には「弁護士費用等特約」が付いている場合がある。

仮に評価損に対して弁護士を使って裁判を起こす場合、相談料や手続き費用をこの特約で補填したりできる(保険会社、またはその特約内容によって変わります)。

もしこの特約が機能していれば、こちらの負担ゼロで活用することができる上、等級が下がることもない。

なので一度ご自身が入っている自動車保険の特約内容を一度確認しておくことをおすすめする。

そんぽADRセンターにも相談可能

そんぽADRセンター

そんぽADRセンター(日本損害保険協会: http://www.sonpo.or.jp/efforts/adr/ )では、専門の相談員がいて交通事故、損害保険に関する相談を無料で受けてくれる。

もし相手側の保険会社と折り合いが付かない、トラブルになりかけている、和解が必要など、こちらの要望を相談することが可能だ。

これだけはやってはいけない!交渉の際の注意点

加害者に直接連絡してしまった被害者のイラスト

※連絡は必ず保険会社に!

一点よくやりがちな間違いとして、「事故を起こした相手側の本人と話をして解決しようとする」ケースがあるが、これは絶対にやってはいけない。

余計揉めるばかりか、感情論になったり書面無しでコトを進めてもほとんど効力を発揮しないどころかいらずらにトラブルを招きがちだ。

交渉を進めるにあたっては、必ず相手側の保険会社と行うようにしよう。

さいごに

評価損の対応については何はともあれ相手側の保険会社が対応する意思があるかどうかの確認がまず重要だ。

対応の是非、つまり支払う意思があるかどうかによってこちらの対応も変わってくるので、早めの確認をしておくことが大切。

また、修理工場での見積書もしっかり保管しておきいざというときのために備えておこう。

もちろんご自身が加入している保険会社もしっかり相談に乗ってくれるのでそちらも併せて。

※追伸:もうこの際売却してしまおう、という場合は

事故を起こしていない車と違って、事故車の場合は事故車なりの売り方がある。

少しでも高く売るためには事故車買取専門業者を活用する、またはこちら側も事前に押さえておきたいポイントが存在する。

もう乗り換えも検討していたところだし、この際売却してしまおう、という場合は下記記事をぜひ参考にしてみてほしい。

事故車でも高く売るためには

車を売る際には一括査定が一番高く売れやすが、仮に一括査定を使う場合にもちょっとしたコツがあるのだ。そのコツを知っておくだけで査定額が変わってくるため、売却前には下記記事をよく読んておいてほしい。

事故車や廃車でも高く売るためのオススメ買取先と査定業者
事故車はどこで買い取ってもらうのが一番高く売れやすいのか、またおすすめの売却先について詳しくまとめています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました