新車購入で今後主流になるか?OSS申請を自分でやるときのハードルや注意点

新車購入の際によく取り上げられる「諸費用カット」。

できるだけ安く買いたいのは誰しも思うところだし、車両本体やオプション値引きも限界に近づくと最終手段として諸費用カットで…な~んて目論んでる人も多いのだけど。

この辺はもうディーラーも熟知しているところ。

「諸費用カットは交渉の最後で!」とか雑誌やネットでも沢山書かれてるので「もうそんなこと分かっとるわい」という読者の皆さんも多いハズ。

もちろん交渉の最後に切り出すのは悪い手法ではない。

ただ、最近ではOSS(ワンストップサービス)なる制度ができていて、先日著者の友人が「車庫証明書は自分で取得できないんですよ~」なんてディーラーに言われて諦めたとの話を聞いて。

なんじゃそれはと。

ほんとに自分でできないのか?

これまで不動産登記も司法書士に任せず自分でやったし、会社設立も法務局行って自分でやって「なにこれ超簡単やん」と分かっている節約自慢の著者としては、「絶対そんなことないでしょ」と秒で感じた次第だ。

ということでキッチリ調べ上げてみたところ、やっぱりそんなことなかった。

「諸費用カットを積極的に進めたい」、「少しでも新車安く買いたい」、「ディーラーに”無理です”と無慈悲な対応された」なんて人はぜひ熟読してみてほしい。

友人の弔い合戦ですよ、これは。

とりあえず諸費用カットについてささっとおさらい

新車購入時によく知られているポピュラーな諸費用カットの代表格としては、

  1. 車庫証明書手続き代行費用
  2. 納車費用

この2つ。
この辺は当たり前の世界。

車庫証明書を自分で取得するのは超簡単

新車買ったら管轄する警察署に行って「車庫証明の書類ください」といえば、交通課の窓口で書類がもらえるので自分で書けばOK。

あと意外と知られてないのが、警視庁のウェブサイトでもダウンロードできる。

保管場所証明申請手続(警視庁公式)

これは別に難しくもなくて、ちゃんと書き方のマニュアルもある。

こんな感じで。
自動車保管場所証明申請書の記載例

一番ややこしい(と言ってもざっくり書いても大丈夫だが)のが「保管場所所在図・配置図」で、駐車場の場所を手書きで書く必要がある。

ただややこしければグーグルマップの航空写真をプリントアウトして窓口で一緒に書けば全然行けるレベル。

書いて提出したら、一週間くらいでできあがるので、申請費用2,000円(都道府県によって2,100円、2,200円あり)とステッカー代500円の合計2,500円払って終わりだ。

これをディーラーでやってもらうと、大体1万~2万円取られる、「代行費用」として。

なのでササッとカットしたほうがいいだろうこれは。

納車なんて自分で取りに行けばいい

「納車費用」としてディーラーがおウチまで車に乗って運んできてくれるが、別にこれ自分で取りに行けばいい。

それだけで5千円~1万円カット。

まだある。カットできる諸費用あと3つ

①下取り査定料

乗っている車を下取りに出す場合は、その査定料を徴収するディーラーがいる。

一括査定なら無料でかつ下取りよりも高く買い取ってもらえるのに。

これもカット。はいこれで大体5千~8千円浮いた。

②下取り車手続き代行費用

下取り車の名義変更や抹消手続きをディーラーがやってくれる、という名目だが、道路運送車両法では購入した側が手続きを行うことになっているので必要なし。

カットカット。これで5千~1万円浮いた。

ていうか、もしこの辺「できません」とか言ってくるようならそもそも下取りに出さなければいいし、下取りしてもらう前に「この意味不明な諸費用、オタクは取りますか?」と確認しておくべき。

さらに言えば、そもそも論として下取りに出さなければこんな余計な諸費用カットとか考える必要一切なし。

高く売るためには一括査定一択。

③希望ナンバー代行手数料

「7777」とか(←結構かっこ悪い)ナンバーにしてる人を見かけます。あれも希望したらやってくれるが、手数料を取ろうとしてくる。

これもカットしてもらいましょう。高い車買ってるんだから。

これで5千~1万円カットカット。

ディーラーは無数にあるわけで
とまあ、せこい手数料は全部カットしてもらおう。

カットしてくれるかどうかでそのお店の力量や客への姿勢が分かる。

もちろん車両本体値引きやその他値引きも合わせて総合的に見るべきだが、カットしてくれないなら別のディーラーに行けばいいだけだ。

さて本題。そもそもOSS(ワンストップサービス)とはこういうこと

車庫証明書取得は管轄警察にいく必要がある。

そして陸運局にも行って「新車の新規登録手続」もしなきゃならない。

これ、ディーラーの諸費用明細には「検査登録手続代行費用」となってる部分。

検査登録手続き代行費用の明細書欄
パッと見一般ピープルにはよく分からんですなこれは。

陸運局での登録は自分でやれないこともないけど、かなりの書類を用意して煩雑な手続きを踏むことになるので、これはディーラーにお願いするのが一般的。

で、これらの手続きについて、国土交通省がオンライン化にメスを入れたというわけだ。

自動車を保有するためには多くの手続(検査登録、保管場所証明申請等)と税・手数料の納付(検査登録手数料、保管場所証明申請手数料、保管場所標章交付手数料、自動車税、自動車取得税、自動車重量税等)が必要となります。これらの手続と税・手数料の納付を、オンラインで一括して行うことを可能としたのが、「自動車保有関係手続のワンストップサービス(以下、OSS)」です。

出典:国土交通省

このOSS、2017年からどんどん拡大しており、今なお対象エリアが広がっている。

エリアを確認(自動車保有関係手続のワンストップサービス公式)

小難しいことは置いといて、要するにオンライン化されたら楽になるし、いーじゃん?となるが…。

この代行をディーラーがやってるんですよ。

OSS申請代行費用の明細書
「検査登録手続き代行費用」がすり替わっただけ

つまり、我々一般ピーポーには何ら恩恵は無い。

相変わらずディーラーがこの手続代行をやるからという名目で手数料をとってるので。

なんだそれはと。

え?ディーラーの負担を軽減してあげたの?といいたいくらい。誰のための制度なのと。どんだけ予算割いたのと。

ところがこのOSS申請、ディーラーがやってるかと思ったら違うんですよ。

自動車登録手続きを行政書士以外の第三者が「報酬を得て」行うのは違法

例えば、不動産の登記手続き代行は司法書士さんのお仕事。

登記手続きを行なう代わりに所有者から報酬をもらって登記をやってくれる(実際自分(個人)でも全然できるんですが)。

同じように、自動車の登録自体は行政書士が行ってるんですよ。

えっ?ディーラーがやってるんじゃないの?だってディーラーに手数料払ったじゃん?と我々は思いがちなんですが、事の真相はこう。

OSS申請代行手続きと費用の流れ

要するに、ディーラーはただの窓口で、実際手続きをしてるのは行政書士の先生なんですよ(じゃないと法律違反になるので)。

だからディーラーはただのいわゆる仲介みたいなもんですな。

しかもこの行政書士さんはその辺にいる人ではなく、自販連登録代行センターというところにある行政書士事務所なんですよ。

例えばこういう事務所がそう。

調べれば調べるほどこのOSS申請という仕組み、どうも行政書士さんの仕事を奪わないとも限らないし、かといってディーラーが代行手数料取る→行政書士さんに仕事が流れるのが一般的になっているしで、

正直なんだかぐちゃぐちゃになってるな?と。

更にいうと、我々が払った代行費用は全額行政書士さんがもらってるかどうか、なーんてことも一切分からない。

名目次第でなんとでもなる世界になっていて。超ブラックボックス化している。

あまり迂闊なことは言えないが、とりあえずこの数万円取られるOSS申請代行手続き費用、どうやら自販連のけっこうな収益源になってるってことでしょう。

自販連は国交省の管轄なので…

月に何台新車が売れてるのかと。その全てにこの手続費用が流れてるのかと。そりゃ莫大だわなと。

まあ、よくある構造よね…。

で、OSS申請は自分でできないのか?否、できる!

せっかくオンライン化されたこの手続き、オンラインってことは別に自分でできるはず。

今どき確定申告手続きだってオンライン(e-Tax)でできるよ?

税理士いなくても。

つまり、著者の友人が断られた車庫証明書を自分で取得するのが断られたのってどう考えてもおかしい。

「このOSS申請の中に車庫証明手続きも含まれてるから無理なんですよ~」っていう。

んー?なんだその理由は?じゃあOSS申請自体を自分でやらせてくれよ、っていう話になってくるわけです。

で、結論的に言うとやっぱり自分でできるのだ。

既に立派なホームページだって用意されてる。
http://www.oss.mlit.go.jp/portal/

ワンストップサービスとは?を説明した公式サイトの文言

公式ページにうたってあるんだからできるのよ

申請を行う前の手続きチェック」までご丁寧に設置してある。

それをディーラーが「できないんですよ」とは何ごとかと。

ほら、ちょっとツイッターで調べただけで断られてる人出てくる。

OSS申請、ディーラーで、移譲証明書とかがどうとか、いわれて、自分で申請するんことわられた。くそさん。 つーかOSSとか最初みたとき、オープンソースソフトウェアとしか見えなかったよ。職業病ということにしておこう。

— 桑名潤平 (@thisjun) 2014年12月13日

いやいやいや、実際もう自分で申請しちゃってる人も沢山いるよ?

滋賀の自動車登録でOSS申請したら、「個人で来られたのはあなたが初めてです…」って言われた(笑)まじかw行政書士始めようかな #LEWO自動車部

— ワッカ@騎空士の酒場 (@Wakka231_LEWO) 2018年9月28日

体験記をブログでまとめられた方もおられる。

自動車保有関係手続のワンストップサービス(OSS)体験記-本人申請
http://blog.livedoor.jp/meitantei123-oss/

OSS DIY!(自動車ワンストップサービス本人申請)体験記
http://ossdiy.blog.fc2.com/

はい、ということで、やはりOSS申請は自分でできる。

下記のことがオンラインで全部できちゃうぞ。

(1)警察署へ申請する自動車の車庫証明に関する手続(保管場所証明)
  • 保管場所証明申請
  • 保管場所標章交付申請

(2)運輸支局等へ申請する自動車の登録に関する手続(自動車検査登録)

  • 新車新規登録申請

(3)都道府県税事務所へ申告する税に関する手続

  • 自動車税申告
  • 自動車取得税申告

公式サイトの「手続きを開始」からスタートしてポチポチしていけば進んでいく。

これ、自分でやりさえすれば、大体3~4万円の手続き代行費用がカット可能だ。

事前に用意しておく必要書類など

①自動車の注文書

②希望番号予約済証
※希望ナンバーを希望した人のみ

③旧自動車のナンバープレートの番号及び旧自動車の保管場所標章番号
※旧自動車の保管場所を、登録する自動車の保管場所として使用する場合

⇒保管場所標章番号の確認方法
・保管場所標章番号通知(車庫証明後に手元に残る通知書)より参照する。
・リヤウィンドウに貼られた保管場所標章(ステッカー)より参照する。

流れは全部ここに書いてあります。

ICカードリーダーが必要になるので、これは自分で買って用意する必要がある。

でもアマゾンで2,000円前後で売っているのでそれを買えばOK。

あとはパソコンとスキャナーが必要になるが、スキャナーが無ければスマホで撮影すればOK。

ただし添付画像のサイズが決まっている。

画像は100KB程度のJPEGファイルである必要があります。LHA、ZIP等で圧縮したファイルは、提出できません。ファイルサイズが大きい場合、画面の移動に時間がかかったり、動作が不安定になったりする場合があります。
添付ファイルのサイズは1024×768ピクセルを推奨しています。

スマホでデフォルトの状態で撮影すると大体画像がバカでかくなったりするので、事前に小さくする必要がある。

またはこのサイトで画像データ自体の容量を小さくできる。

しかしまあ、

なんでこんな手間ひまかけさせて分かりづらくするかね?

わざと?わざとなの??

もっとほんとに分かりやすくして欲しいね。これだと挫折して諦めて結果ディーラーにお金払う人のほうが多そう。

とりあえずわからない人用にサポートデスクも用意されているのは、まあ評価ポイント。

自動車保有関係のワンストップサービスヘルプデスク
国交省がちゃんとヘルプデスクを用意してくれているので、わからないことはどんどん聞いちゃいましょう。
TEL:050-5540-2000

「手続き代行費用払うのなんてバカらしい」という人はぜひ

この作業を自分でやれば、少なくとも3万円はカットできるので、その分オプションに突っ込んだり貯金できたりも可能。

車を買うときって大体100万円とか数百万円とか超えてくるので、「たかが3万…」とか思いがちだが…。

3万円稼ぐの大変よね。

で、もしディーラーに「OSS申請自分でされるのはお断りしてますので」とか言われた場合は、

「OK、じゃあ管轄省庁に苦情申し立てますけどいいですか?」くらいのレベル感。

自分でやっちゃだめな法律なんてもちろん無いどころか、自分でやれるように国交省がシステムを作ってるのだから。

(※国交省ならメールでも相談できるし、総務省にも相談できます。)

徹底的に諸費用カットを目指す人はぜひチャレンジを

まだまだ一般的には全然浸透してないこのOSS申請。

方法もどちらかといえば煩雑なので、自己申請率もそれほど高くないだろう。

ディーラーも「ご自身でやっていただくことは原則不可とさせていただいてます」なんて超謎対応してくるし。

ただ、たとえこの申請自体を断られたとしてもディーラーさんと喧嘩腰になる必要は全然なくて、できればディーラーさんとは友好関係を結びながら円満に新車購入を進めていくのがもちろんベスト。

本題の車両本体値引きたくさんしていただかないとダメだし。長いお付き合いになるんだし。

平和が第一ですよ。

ん?じゃあなんでお前、こんな超喧嘩腰な文章書いてるんかだって?

ええ、最初に言ったでしょ、

これ、友人への弔い合戦だから。

もし参考になっていれば著者はこんな幸せなことはない。

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