新車の値引き方法を事例とともに深掘り解説!

今まで新車3回、中古車3回の購入履歴がある著者だが、実際に商談してみて分かった大切なポイントをあえて一つだけ挙げるとしたらこれだ。

「その車のことを事前に調べてきちんと理解しておくこと。」

値引き交渉も大事だし、ライバル車との競合も大事。

でも、ただ単に「値引きして欲しい」「安くしてくれるなら買う」だけでは大幅値引きにはとても繋げにくいなという感想。

ライバル車と本命車のどこが違うのか、何が気に入っていてどこに魅力が欠けているのか、比べてみた違いをしっかり把握した上で総額と照らし合わせて自分の希望と合致するのかどうか。

それを大前提にして交渉に当たることが結果営業マンを本気にさせることに繋がることが経験上分かった。

結構感覚で購入してしまうケースって多いのだが、本気で限界値引きを目指すなら細かい部分まで把握して、こちら側もそれなりに動かないとダメだなってことだ。

ナビが他社よりも高いことを指摘したお客さんのイラスト

あとは闇雲に値引きを煽るのではなく、自分の中で一定の値引き目標額を事前に設定しておくことも大切。

ここでは、著者が実際に行った新車購入時に押さえておきたいポイント、値引きに欠かせない方法と交渉について、Q&A方式も織り交ぜつつじっくりまとめた。

これから新車を購入したいと思っている方へ

値引き目標額って言うけど、それってどうやって決めるの?限界値引きに達してるの?という疑問があるだろう。でも大丈夫、仮に適正じゃなかったとしても、それを補って有り余る上乗せ方法もきちんと紹介している。

※ちなみに、文末に追記で画期的新車見積もりサービスも紹介している。

1.目標値引き額の設定方法

ディーラー訪問前に条件をリサーチする人のイラスト

まずは欲しい車が現状どれくらい値引きできるのか?を把握するわけだが、最近ではインターネットでも情報が出ていたり、本屋の車コーナーに行けば新車を紹介する雑誌が売られているのでそれらをチェック。

ザ・マイカーは毎月リアルタイムで値引き相場額を掲載していておすすめ。

アマゾンでも買える。

ただし、雑誌の情報は万人向けで書かれているため、やや無難な値引き額になっている。

表記された値引き額に対して、+5万円くらいは上乗せしても全然大丈夫。300万円以上の高額車になる場合は+10万円の上乗せでも実際は全然大丈夫。

値引き参考記事

著者がミニバンが大好きなので半期ごとにミニバンランキングを更新しているが、その際に各車種の値引き実績を調査しても、やはり雑誌の値引き目標額よりも大幅に上乗せできている実績を確認できている。

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ディーラーごとでなぜ値引き額は変わるのか?

例えば1車種に限ってもトヨペット店同士、カローラ店同士で値引き額が変わることがある。この理由はいくつかあって、営業所ごとにその月ごと、売上目標の達成度合いや営業マン一人ひとりの売上達成度合いによって変化する。

例えば同じトヨタでも経営資本が異なる会社が運営しているため、会社ごとでのやり方や方針によっても変わるのだ。

だから同士競合が有効に働く構図になっている。

2.初回交渉はライバル車から見積もりを取りに行く

ライバル車と値引き競争のイメージ

例えばプリウスが第一希望として欲しいと思っている場合、まずはライバル車のノートeパワーから見積もりを取りに行く。

ライバル車種から見積もりを先に取るのがポイントなんです。

なぜなら、先に行くお店は一切他車の見積もりがない状態で行くことになるため、営業マンとしても初めから限界値引きを出してくる可能性は低い。

けれども次にその見積もりを持って本命車種に行けば「この人は何らかの車を買うことに対して本気だ」と思ってもらいやすくなるためだ。

つまり、本命車種からスタート段階で好条件を引き出しやすくなるということ。時間短縮にもつながる。

①ライバル車見積り⇒②本命車見積り

この時に大切なのは、グレード、オプション、総額などの条件をある程度揃えておくということ。比較対象が同じなのに値引き額は各ディーラーで違ってくるのでそこが交渉材料になる。

条件を合わせるってどういうこと?

例えばミニバンで人気のホンダフリードで考えてみよう。ライバル車はトヨタのシエンタ。この超強力ライバル車と条件を同じにして比較したのが下記。

フリードVSシエンタ!
フリードとシエンタから交渉材料を探すための違いを比較
条件フリードシエンタ
グレードHYBRID G Honda SensingHYBRID G
車両本体2,517,600円2,329,855円
エンジンパワー110馬力74馬力
車内の広さ3,045mm2,535mm
外観無難な万人受け個性的で未来感
ナビ177,141円150,120円
ナビ連動ETC標準17,280円
自動ブレーキ標準MOP54,000円

※MOPは「メーカーオプション」の略

外観は個人の感性や好みによるため割愛するが、それ以外の赤文字部分はライバル車よりも優れている、メリットが大きい部分。

車両本体価格やその他オプション、装備などの条件を合わせた上で比較すると、それぞれの長所と短所、金額差が浮き彫りになってくる。

この違いを交渉材料として商談できる。

他にもライバル車競合で値引きが上手くいった例を見てみよう。

ライバル競合で値引き成功した交渉例
  • 本命:エスティマ
  • ライバル車(第二希望車):ノア、セレナ
  • 下取り査定:10万円

まずはカローラ店にノアとエスティマそれぞれの値引き込み見積もりを取ったところ、総支払額でノア:300万円、エスティマ345万円。この条件をセレナにぶつけたところ現金総支払額300万円に。

次にこれら見積もりを持ってトヨタ店に交渉に行ったところ、現金総支払額は327万円に。最後にこの見積もりを持って再度カローラ店で交渉、結果総支払額327万円+諸費用カット+ガソリン満タン+下取り査定額35万円になったのでエスティマで契約。

値引きの結果
  • 車両本体値引き:51.8万円
  • 用品値引き:5万円
  • 下取り査定:35万円

値引き込みでアップした金額91.8万円

上記はエスティマという比較的型が古くて販売ランキングTOP10入りもしていない車種っていう条件もあるが、90万円オーバーは見事だと言わざるをえない事例。車両本体自体が高い車種ほど高額値引きは引き出しやすくなるので、粘り強くライバル競合、同士競争を行うことで新車値引き額は引き出しやすくなる!

モデル末期の購入はやっぱりお得?

もし10年スパンで長く乗るならかなりの高額値引きを引き出しやすくなるのは間違い無し。モデルとして熟成された形になっていたり、特別仕様車で装備や外観も十分に仕上がった車になっているのでお得感は高くなる。

ただし昨今のエコカーブームにより、モデルチェンジすると燃費向上が著しいため、ランニングコストまで踏まえ次期モデルもチェックした上でどうするかを決めたほうが無難。

もし短期間で乗り換えるつもりなら、モデル末期の購入はかなりおすすめ。

モデルチェンジ前の予約注文はお得?

モデルチェンジの正式発表前にキャンペーンが展開される場合がある。この段階で予約注文すると付属品サービスや下取り査定上乗せキャンペーンができたりすることがあるのも要チェックだ。

ただ基本的にはモデルチェンジ後の車両本体値引きはかなりキツくなるのが最大のデメリット。

どうしても欲しい車なら個々の判断になるため一概に損得は言えないが、たとえあの手この手を使ったとしても車両本体自体の値引きは低いまま。

人気車種ならゼロもありえるかもしれない。

ローンで値引きアップは有効?

自動車ローンを利用すると、実は信販会社から販売ディーラーに対してバックマージン、いわゆる仲介手数料が支払われる場合がある。

このバックマージン分の一部が値引き支援として補填される場合があるため、値引き額がアップすることも。

「仲介手数料もらってるでしょ、その分値引きとかオプションでなんとかできないの?」と交渉するのはアリ。

ただし当然ながらローンには金利がかかっているため総支払額がどれくらいの負担増になるかはしっかり見極めておく必要があるだろう。

頭金多めの短期ローンなら金利負担も小さくなるので、値引きと合わせて有効な手段になりうる。

3.同じ車種の同士競合を実施

系列店を走って回る人のイラスト

他社のライバル車との競争後に本命車種の同士競合は値引きの中盤戦に入っていく。

この時本命車種の値引き額は一定の水準に達しているはず。次に経営資本の異なる販売店に行って同じ車同士でどっちを安くしてくれるの?と交渉スタートしよう。

例えば「トヨタネッツ店 東京」で検索した場合、「ネッツトヨタ 東京株式会社」が運営しているネッツ店が出てくる。

さらに「トヨタネッツ店 神奈川」で検索した場合、「ネッツトヨタ神奈川株式会社」が運営しているネッツ店に。

つまりこの両店は同じトヨタのお店でも、それぞれ違う会社が運営しているネッツ店であることが分かる。

また、例えばプリウスならトヨタ全店で扱っている車種なので、ネッツ店とカローラ店、トヨタ店とトヨペット店といった系列の違うお店同士でも競合が可能。

このように、本命車種の値引きは系列や資本だけ変えた上で同士競合させるのがとても有効だ。

事例で見てみよう。

同士競合で値引き成功した交渉例
  • 同士競合車種:トヨタC・HR G
  • 下取り車種:H19年式プレミオ
  • 販売チャネル:トヨタ全店(トヨタ店、トヨペット店、カローラ店、ネッツ店)

中古車買取専門店で査定してもらった結果10万円の提示。この見積もりを持ってトヨタ販売チャネル4つ全てに訪問して見積もりを取ってみた結果、ネッツ店は下取り3万円、トヨペット店は5万。

カローラ店とトヨタ店はそれぞれ下取り10万円、車両本体値引きが15万円になったため、この2つで改めて同士競合した結果、トヨタ店の頑張りで値引き額が上回って契約。

値引きの結果
  • 車両本体値引き:32.2万円
  • 用品値引き:0円
  • 下取り査定:19.1万円

値引き込みでアップした金額51.3万円

C-HRは世界で出されているモデルということもあって値引きは低めの傾向だが、同士競合をした結果で良い結果に繋がっている。下取り車も買取店査定と競争をさせたことで9.1万円アップ。下取り査定はかなりの強い武器になる可能性大!

立地によって値引き額は変わるの?

同系列、同資本の販売店でも、店舗がある場所、つまり立地によって値引き額は変わる場合がある。

例えば県庁所在地などの都市部や市街地にある店舗は新規開拓が難しく値引きを渋る傾向に。

逆に郊外型ニュータウンやバイパス沿い店舗は新規開拓が見込みやすく、ライバル他社の店舗も多い場合があるので販売重要拠点として値引きは拡大傾向に。

交渉期間は短いほうがいい?それとも長いほうがいいの?

最近はネットの普及によって、値引き攻略情報も増えている。また雑誌でも情報を入手できるため、ユーザーがライバル車種や値引き額の情報をあらかじ得ていることによって短期決戦が一般的になってきた。

それは販売店も同様に情報を入手しているってことなので、一昔前のようにダラダラ粘るほど値引き額が拡大するような状態は無くなりつつあると考えておいて差し支えないだろう。

ただしもし購入時期を長めに取れる人は、一度交渉自体を中断して中休みをおいてから再度販売店に訪れたりすると、営業マンも「お、やっぱり購入される気があるんだな」と思ってくれやすくなるため効果的な場合も。

4.全ての見積書の中で2店に絞って最終交渉

最終交渉をしている人

ここまで来ると商談も最終決戦に。ライバル車vs本命車でもいいし、本命車vs本命車でも良いので、一番良い条件を出してくれたディーラーの見積もりを持ってもう一方のお店に交渉をかけにいこう。

この場合は販売店によるので一概には言えないが、車両本単やオプションの値引き、付属用品サービス、諸費用カット、ガソリン満タンなどあらゆる条件で上回った条件を引き出せるかどうかに。

もちろんこの段階では購入する意思をしっかり伝える。またどんな条件を出してくれるかは営業マンにお任せしてしまったほうがいいだろう。

ここで出てきた条件がほぼ最終条件になる。

装備付属品の値引きはどこまでお願いできるの?

オプションにはメーカオプションとディーラーオプションがあって、ムーンルーフやLEDヘッドランプなど生産時にしか装着できないメーカーオプションは車両本体値引きが限界を迎えた際に、商談最終段階で付ける意思を見せれば値引き交渉できる可能性あり。

またフロアマットやサイドバイザーなどカー用品やETC、ディーラー専用ナビといったディーラーオプション値引きはお店の特色が出やすく、A店では全然値引きできなかったものでもB店では大幅サービスされたりもするため、やはり複数店舗を回るのは効果的。

(一般的にはディーラーオプション値引きの上限は約20%程度。)

限界値引きっていつ訪れるの?

実はトップセールスマンほど値引き額は絞られる傾向に。それだけ対顧客へのセールストークが上手ってことだ。

うまく誘導されがちなので実は新人営業マンのほうが成績を取らせるために値引き額は大きくなったりすることもあるようだ。

何れにしても、営業マンの口数が減って沈黙が長くなったときが限界値引き到来と思っておいていいだろう。

この時に最後の必殺交渉を行うと効果的だ。

この必殺交渉について以下に続く。

5.下取り車の査定アップで上乗せ額をゲットする

下取り車が買い取られていく

車両値引き、オプション値引きもいずれ限界を迎える。

最近では車両、オプションともに値引き余力は少なくなってきていると言われている。そのため営業マンも初めから限界に近い値引き額を出してくる傾向に。

この時に一番頼りになるのが「下取り査定額の上乗せ」。これが必殺交渉として役立つ。

覚えておかなければいけない点として、ディーラーの下取り査定額は最低限の価格で設定されているということ。

一例として、ディーラー下取りと買取店との実績が下記の図。

かんたん車査定での下取りと買取の差額図解
MAX135万円もの価格差が

ディーラー下取りが安くなってしまうのは仕組み上仕方ないので、私たちユーザー側で策を講じる必要がある。

当記事の中でも幾度となく出てきた「買取店」の存在だが、ほとんどの人がディーラー下取り、または買取店1社での査定を行っているのが現状。

これでは下取り査定額はほぼ上がらない。

下取り査定で重要なのは買取店同士を競争させること

新車値引きでも重要なポイントは、販売店ディーラー同士を競争させること。

これは下取り車でも同じだが、ディーラー同士で下取り競争させても元々の額が小さいため効果は高くない。高く売るためには買取店同士の競争が鍵になる。

そこで登場するのが「中古車一括査定サービス」。

下図では買取店同士を競争させたことによって出た差額。大きいところでは52万円もの差が出ていることが分かる。

買取店同士でもこんなに差額が出る

比較見積もりするだけでこれほどの差額が出るため、ディーラー下取りだけ、または買取店1社だけの査定が如何に損をしているのかが分かるだろう。

一括査定を使った上乗せ事例

著者の家で乗っていた中古車は12年落ち12万キロ。

一般的には査定ゼロと言われてもおかしくなかったため、販売店で査定してもらった時に案の定0円査定された時は「あ~やっぱりね」となった。

ただそこで諦めずに一括査定を使って5社に来てもらった結果52.1万円の査定に。乗り換え資金としては十分な頭金をゲットすることに成功。

下取り査定交渉で上乗せに成功した事例


購入車種:トヨタ ルーミー

2回目の車検が近づき、自動ブレーキの付いた車への乗り換えを決意。ルーミーに狙いを定めて商談へ。その際にH24年式のアクアを一括査定にかけたところ59万円とまずまず。

車両自体の値引きはそれほど出ないだろうと分かっていたため、この下取り査定額をアップさせることを交渉の軸にした結果、65万円→70万円まで最終上げることができました。

交渉の結果

車両本体値引き:2.3万円
用品値引き:0円
下取り査定:70万円

買取店→下取りからのアップ額は11万円

買取店よりも低いとされるディーラー下取りだが、上記のように車を買う前提で交渉すれば買取店よりも高く買い取ってくれることが分かる。これを最後の武器にしない手はない!

車両値引き、オプション値引きのための商談と交渉はとても大切。

ただ確実に限界は訪れるため、その時本当に役立ってくれるのが下取り車の存在。

何はともあれ、新車を買うと決めたらその段階で一括査定を使って下取り車の価値を把握しておくのがとても重要だと感じた結果だった。

買取店同士で競争させた見積もりを持参した上で最終交渉の武器として上乗せ額を確実にゲットできる。

※追伸:現場の営業マンが考えていることを聞いてきました。

著者の友人でディーラートップセールスがいる。彼がどんなことを考えながらお客さんと対応しているのか、また新車値引きはどのようにして決まっていくのかについてインタビューしてきた。

これから新車を購入する際の目安として参考になる内容になっている。

※追々伸:諸費用カットがややこしくなっている?

コレまでは諸費用カットといえば車庫証明書を自分で取ったり、納車費用をカットしてもらったりなどが一般的だったが、「OSS(ワンストップサービス)」なるものが登場してからというもの、、、

どうやら自分で車庫証明取らせてもらえなくなってる?という声が挙がってきている。

※追々伸+α:ついに新車の一括見積りが登場

これまで一括見積もりと言えば中古車の買取が定番だったが、ついに新車の一括見積りまで登場した。

既に全国4000のディーラーが加盟済みで、月間の見積もり実績数も65,000件オーバーと大繁盛の勢いを見せている。

ディーラーは全国で無数にあるし、上記で説明した「ライバル車競合見積もり」とかそういう面倒くさい作業がスパーン!とカットできる仕組みになっているこれは。

新車ディーラーは絶対他社に負けたくない!と心から思ってるから下手な見積もりはもうこれで出せないだろう。

新車購入予定の方はまずサクッと使っておこう。

これまで我々ユーザーがディーラーに足を「わざわざ」運んで見に行って値段交渉して値引き引き出して…

さらに他社も回って値段交渉して、、、な~んて超面倒くさい作業が全部オンラインでできるようになってしまった。

これ、やばいサービスだ。

マイページで値引き交渉したりとか試乗予約したりとかディーラーと全部直接交渉できちゃいます、「WEB上で」。

さすがにこれは使わざるを得ませんね。

メリット・デメリット含めて分かりやすくまとめているので、これから新車買いたいって場合は要チェック。

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