トップセールスに聞いた新車を値引き販売する際に頭の中で計算している3つのこと

ディーラー営業マンが考えている新車値引きの本音
更新日:2018年09月17日
今現在著者が従事している業種はウェブ関係。けれども元々は全くの畑違い、金融業をやっていました。

当時、学年でいうと同級生のお客さんがいて、彼は全国でNo.1の年間販売実績を何回も作っているいわゆるトップセールスマン。

「最近ではもう車を売ること自体に大きな興味がなくなってきたよね」

と豪語するほどの敏腕。くぅ〜羨ましい。

既に人脈を活かした他のビジネスを手がけたり、自ら不動産を購入して回していたりと。

車の販売実績ではもちろん、ビジネスセンスもあっぱれな手腕を持っているのは確か。

そんな彼と年に1回くらい連絡を取り合っているのですが、つい先日食事をする機会があり、自身が新車販売をする時に考えていることや実際にどう動いているのか「絶対匿名な?」という条件で話を聞くことができました。

これから新車を購入しようと思っている人には知っておいたほうが今後の立ち回りに役立つ内容になってますよ。



    セールス中に営業マンが頭の中で値引きで計算していること、考えていること

    このページを見に来ている人は、これから新車を購入するにあたり「なんとか大幅値引きできないものか?」と考えているが故に見に来ているハズ。

    そのためには、実際に交渉を行う営業マンが考えていることを少しでも理解できれば、交渉の際に有利有利に働くのは間違いありません。

    今回友人のトップセールスから聞いた内容を大きく分けると下記3つのポイントであることが分かりました。

    今回話を聞いた著者の友人「K氏」はこんな人

    友人K氏の写真

    新卒から某超大手ディーラーに勤務、勤続年数23年で数々のトップセールスを獲得し表彰された回数も数知れず。

    営業マンのくせに色黒でちょい茶髪、喋り方も偉そうで生意気。けれども言うことはいつも本質を突き、口が達者と言われる著者をも赤子の手をひねるかの如く一掃する曲者。

    仕事に対しては超誠実でやるからには何でも真剣に取り組み、「結果を最高の数字で出す」が信条。2児のパパで45歳。

    以下インタービュー形式で聞いた内容をまとめています。

    (喋り方もそのままクソ生意気な感じでリアルに再現してますのでその点ご了承を)


    その@値引き額は来店客で相殺できるかどうか考えている

    著者:値引きするときって大体どれくらいできそうみたいな金額って人によって違うの?

    ― K氏:そもそもさあ、値引きすると誰が損するかとか、どうせいっぱい儲けてるメーカー(例:トヨタとか日産とか)がちょっと利益削ってるだけだろ?くらいにしか考えてないでしょ?

    まず構造を理解しといて欲しいんだけど、メーカーは一切腹は痛まないのよ。全部が全部じゃないけど。

    『メーカー希望小売価格』っていうのは、「1.製造原価」、「2.メーカーの利益」、「3.販売店の利益」、この3つで構成されてるの。

    メーカーが全部直営で販売店やってるわけじゃないからね。基本別会社が販売店登録していて、ウチらはメーカーから新車を仕入れてるわけ。

    自動車メーカーと販売店との相関図


    販売店の仕入額は基本決まってるの。仕入れた車を値引きして売るかどうかは販売店の判断だからね。

    つまり、「値引き=販売店の利益を削っている」ってことなの。

    で、人によって違うかどうかと言われたら、まあ全然違うよね。


    著者:ふむ。で、値引き額自体はどういう仕組みで違ってくるの?

    ― K氏:今はネットでも雑誌でも値引き情報が溢れてるし、そういうのを読んでから来る人も多いんだけど、中には「へぇ〜、値引きしてもらえるんだ?」なんて人もいるわけ。

    それわかった上でこっちも初めから「どれくらいの予算感で考えていらっしゃいますか?」とか「他社さんでは見られてきましたか?」「値引きはどれくらい出ましたか?」なんてヒアリングする。

    で、値引きにそれほど執着してない人であればお得感演出するためにそこそこの値引きを出す。

    けど初めから鬼のような値引きを要求してくる人もいるからね、そりゃ人によって変わってくるよね。

    こっちも販売台数欲しいし、「こいつはかなり行っとかないと買わないな」と思う人にはそれなりに幅も大きくしていくし。

    ただ、今回は大幅に値引いたけど、この前はそこそこで済んだし、今月あと何日残ってるから今回はこれくらい値引いといても大丈夫だろう、逆にもう今月終わるけどまだ余裕があるから大幅値引き大丈夫か、なんて計算したりするよね。

    お客さんの総数で見てるから、月全体、年全体で見て大幅値引きしたとしても相殺できるかどうかを瞬時に判断してるのよ。

    だから決まった値引き額があるわけじゃなくて、その時の販売状況や会社全体の売上も考えながら値引き額は考えてるよ。まあ当然よね。

    著者:お〜そりゃそうだ。経営者みたいじゃん!

    ここまでのポイント
    よく雑誌とかで出ている「ここまで値引きできる」みたいな数字がアテになるわけじゃなくて、あくまでも担当する営業マンがどう考えているか、その販売店自体の今月の状況によって値引き額は変わってくるということ!

    沢山売る必要がある決算期なんかは当然値引き額も大きくなる可能性があるのは分かる気がするね!


    そのA「この人は2台目も自分から買ってくれるかどうか」を考えている

    著者:さっき「お客様からヒアリングする」って言ってたけどどんなことを聞いたりするの?

    ― K氏:あのね、オレ「お客様」っていうの好きじゃないの。オレのことは「営業マン」じゃなくて○○さん(K氏の名前)って呼んでほしいし、お客さんはお客さん。

    お客さんが最大限満足してくれて、この人と付き合いたい、この人なら安心できる、今後もこの人から買いたいって思ってもらえるような接し方してるの。

    だからお客さんとオレは対等。お金もらってる代わりにこっちも希望通りの車をお渡ししてさらに最高のおもてなしとサービスをしてるから。

    まあ、いわばコンシェルジュみたいなものよ。オレと付き合うと最高に気持ちいいから。


    著者:う、うん、わかったよ…でお客さんに何を聞くの?(著者心の声⇒ちっ、聞いたことすぐには答えないやつだな相変わらず。めんどくさ〜)

    ― K氏:さっきも言ったけど、予算はどれくらいか、他と競合させるつもりなのか、値引きはどれくらいで考えているのかはもちろん、重要なのは「この1台で終わりの人なのかどうか」は考えるよね。

    例えば、、、
    • 今までどれくらい乗り継いできたのか?
    • どんな車種が好きか?
    • 短期間で乗り換えてるかどうか?
    • 家族構成はどうなっているか?
    • 細かいことを気にしそうかどうか?
    • オプションはどこまで考えているか?
    • 会社経費で落とそうとしてるかどうか?
    • どんな乗り方(休日だけ、通勤にもなど)をしているか?
    • 奥さんがお財布を握ってるか?
    • 下取り査定は重視してるか?

    まあざっと挙げたけどあくまでも一例で、その時々、人によって聞く内容も違うし。

    大事なのは、得られた情報から「今後も付き合っていける人なのか、また2台目も買ってくれそうか」を最重要視してみてるよね。

    ウチらとオーナーさんはこれから長い付き合いになる。長い付き合いだからこそ面倒くさい人は相手にしたくない。

    たとえ面倒くさい人でも2台目、3台目と買って欲しいし、息子さんや娘さんの面倒だって見させて欲しい。

    奥さんの車とかもね。

    家族全員の分まで車を含めたお世話をしたいと考えている


    次の購入も任せてもらえそうと思えれば、初めは大幅値引きで喜んでもらうのも一つの方法だしね。

    あとはオレから買うと他の営業マンでは無理なサービスとかもできることをしっかり伝えるし。

    さらにお客さんだって別に何社も回って交渉とかできればやりたくないわけよ。

    ここでもう決めたい、希望が叶うならすぐに買いたいって思ってるの。だって本質的にもうその車乗りたくて乗りたくて仕方ないわけだからね。

    導入部分で値引き額は大事だけど、結局値引きだけじゃない部分で決めるお客さんがホント多いのよ。高額な買い物だしね。


    著者:確かにな〜。そのおもてなしとかって例えばどんなことしてるの?

    ― K氏:車に対する対応全部は当然だけど、他にも誕生日とかご家族の記念日とか、そういう大切な日には手紙を出すし、必要に応じて花束贈ったりもするし。お中元、お歳暮は当然。

    あと車以外の相談を受けても極力対応するよ。


    著者:うほ〜すごっ。例えばどんな?

    ― K氏:最近だと不動産を購入したいって方がいて、如何に買ってはいけない不動産がどういうものなのか、新築はどれだけ利益が乗っかってるのかとかを教えたり、買うならこの水準以上で考えたほうが良いですよとアドバイスしたり。

    ついでに完全に信用できる業者を紹介したりとかね。

    大体相場よりも3〜5%いい利回りで買えたみたいで超喜んでたよ。


    著者:いやそれオレも欲しいんだけど。つまりそういう勉強とかしてるってことね。

    ― K氏:もちろん。当たり前やん。車売るだけがオレの仕事じゃないから。なんせコンシェルジュだから。特にお金に関わること全般は一通り学んでおくのは当然だし、株も不動産も信託も全部自分でやってるから。

    車以外でのお金の相談に対応できるように勉強している!


    一通り経験した上で話さないとにわか知識だけじゃすぐメッキ剥がれるからね。

    もちろん一般論じゃなくて自分自身が得して儲かった内容だけをお伝えして、何なら実績もちゃんと見せるし、試乗の時に自分の不動産とか見に行ったりするしね。

    車以外でもしっかり自分も考えてやってることを理解してもらうことも大事だし、それだけ実績上げてる人間なんだって分かってもらえるし。

    普通に車売ることだけ考えてるボンクラ営業マン見てると「はいはい、そのまま苦しんでまあ辞めてくんだろうね」って思うよ。

    こっちはこっちでめちゃめちゃ努力して勉強してるし。


    著者:いや〜まさに。それは「自称コンシェルジュ」とかのたまっても誰も何も言えないわ。

    ― K氏:「お得意様」になってもらわないと、結果疲れるのよ。まーたイチからお客探すの?って。いつまでやるのそれって。

    だからオレはもう新規よりも紹介だけで成り立ってるみたいなもん。信用ありき信頼されてる人からの紹介ならって向こうから来てくれる。

    そりゃ値引きとかそういう次元で考えなくても売れるわな(ドヤ顔で焼き鳥食べながら)。

    著者:なるほどね(顔ムカつくわ〜)。

    ここまでのポイント
    営業マンは1台売ったら終わりとは考えておらず、自分の顧客になった人からのLTV(ライフタイムバリュー:顧客生涯価値)を計算している。

    逆に言えば、我々も今後面倒見てもらうわけだし、面倒くさくない状況で買い替えもしたいし、家族の面倒もできれば見て欲しい。できるだけこちらもオープンに情報を渡すことも(営業マンによっては)有効に成りうる。


    そのBこの人は「大幅値引きをするだけの価値がある人なのか」を見ている

    著者:なんとなく分かってきたんだけど、要するに営業マンもお客を見てるってことよね?

    ― K氏:そりゃそうでしょ。なんでお客さんばっかりがこっちを選定してるって思うのかがまじで不思議よ。

    だってあなたその車乗りたいんでしょうよと。だから高いお金払うんでしょうよと。できれば値引きしてほしいと思ってるんでしょと。

    つまりこっちが握ってる実権のほうが高いことに気がついてない。ディーラーなんてどこにでもあるし、安くなかったらここで買わなきゃいいわくらいに思ってる。

    それならそれでいいんだけど、まあそういう態度の人だと結果損をしてるよなって思うよね。

    ウチらもそりゃ、目の前の一台がほしいと思ってる。だけどさ、超限界まで安くした見積もりを持って他の店に更に相見積もり持ってく人とかいるけど、そういう人とはもう付き合いたくないよね。

    いやそれ無理でしょと。どんだけガメついてるのと。

    ただ単に限界まで値引きだけして欲しいだけのお客は嫌われる


    大体そういう人はまあ戻ってくるんだけど。戻ってきたらまあ売るけど、基本もう「関わりたくない」と思ってるし、1台買ってくれたらもうそれっきりでお付き合いもしたくない。

    最低限のことはやるけどね。


    著者:お客さん側が損するって例えばどんなことなの?

    ― K氏:まず、お客さんはその車の本当の価値って分かってない場合がほとんどなの。

    例えば予算500万円だとして、それが値引き無しで450万円で買えたら嬉しいよね。更にそこから値引きもするし。

    いやそのグレード、こんな要らないものが付いてるから500万円なだけであって、これ別に無くても良いのでは?って教えてあげられる。

    それだけで得をするよね。

    あとそのディーラーだけにあるオプション。これもお得に購入してもらうことができる。

    そしてアフターケアとか故障対応。これもある程度までなら格安で対応したり、お得意様なら無償でやっちゃったりもするし。

    人間って目先のことにしか頭が行きがちだけど、買ってから何年も乗るんだから色んなことが起きるの。

    あとはオレの個別コンシェルジュも受けられない。旅行で泊まるべきホテルの紹介とか予約とかもやるしね。

    あとハイブリッド車ね。最近だとアイドリングストップ機能付いてるけど、アレ結構エンジンに負担がかかる。

    だからこまめな点検とかメンテナンスが必要なんだけど、要するにちょくちょく足を運ぶ機会は意外と多かったりするの。

    この辺は挙げだしたらキリがないけど、まあただ闇雲に鬼の値引きを要求してきて人間扱いしないようなお客さんと付き合いたいかって考えれば、、、

    「売る側もお客さんをちゃんと選別してる」ってことは認識しておいたほうが長い目で見て結果得するのは間違いないよ。

    ディーラー側も人間だしね。

    いいお客さんには希望されなくても、気がついて無くても、アフターケアでもしっかり値引きしてるからね。


    著者:へ〜そうなんだ。それは結構表に出てこない話だねぇ。

    ― K氏:そう。だから売る側にとって「いいお客さん」っていうのは間違いなくあるんだよ。

    いいお客さんっていうのは、長くお付き合いしたいって思える人。

    そういう「いいお客さん」だと感じる人には頼まれなくてもどーんと大幅値引きとか最初から出す。

    特に初見さんだったりする場合、名刺代わりとしてインパクト大だしね。

    著者:なるほどね!

    ― K氏:あとあれだ、「この人買う気あるの?」な人がいる。

    値引きさせるだけして結局買わないとかまじ時間の無駄。

    値引きが欲しければ「安くしてくれるなら買います」ってちゃんと言ってくれたほうがこっちもやる気全然出るよね。

    そこまでやって買わないとか何ナノよ?って人、まじでいるんだよ。

    まあ、話してたら大体分かるんだけどね、オレくらいになれば。

    ここまでのポイント
    闇雲に値引きを要求するのではなくて、しっかり人間として見つつ交渉すべきところは交渉する。少し相手側の立場も考えつつ、かつ「買う意志がある」ことを明確に示す。

    こういう部分も対人間として向き合いつつ値引き交渉するってことが大切。アフターサービスにも大きく影響してくることを忘れずに。


    まとめ

    お酒が入ってたこともあり、かつ匿名なことも手伝って結構ぶっちゃけトークしてくれました。

    このサイトでは「下取り査定の限界突破で徹底的に安く売る」が目的になっていますが、売る時はほぼその場限りなシーンが多いですね。

    けれども新車購入時にはただただ「安くして!」だけではあまり効果がない場合があることも分かりました。

    ユーザー側としてはもちろん予想以上の値引きをして欲しいところですが、値引き自体にも相手ありきで対応するのとしないのとでは違いが出てくる可能性が高いことも覚えておくと良いのではないでしょうか。

    とりあえず、K氏、相変わらず偉そうでほんとクソ生意気でしたよ。

    けど根は最高によくて気持ちのいい、そして営業マンとしても一流なところはいつも勉強になっています。